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    【リレー小説】逃亡者 第2回

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     プリウスのコミュティーの企画、カストルさんの提案で始まったリレー小説の第2回目を
    書かせていただくことになりましたっ!

     1回目の、驚きの設定をどこまで引き継げているか、心配ではありますが、楽しんで書かせていただきました。


     1回目はトラックバックさせてもらってますが、
     こちらからもとべます。

     





     それから、1年の月日が流れた。
     今ではトレイターとなって名を轟かせるあの男が出奔した理由は、イントラルックス軍部の機密とされていた。
     ”開花の熱病”をセレブルミと一体化する以外の方法で乗り切ろうとする者が、この先また現れないとも限らない。
     総統テラサイダーの指令は堅く守られ、この事件の真相は、上層部の極一部の者だけが知るところとなった。






     さて、凍りついた階段と呼ばれる雪深い地帯から、吹雪の森を越えようとする、3人のアドベンターの姿があった。
     ヒューム、ロン・マス、アインのこの3人は、まだ転職もままならぬ、少年といってもいい程の若いパーティだった。
     回復を専門とする楽士のいないパーティーで、彼らのような駆け出しのアドベンターがこの地帯を無事で歩いている事だけでも、本来ならば奇跡に近い。
     事実、3人は傷だらけで疲れ果て、武器も防具もその耐久は限界に近く、ほとんど精神力だけで歩いているという状態だった。

    「だ~か~ら! あいつはやばいって言ったじゃないか」
     自分の持てる魔力のすべてを、おそらく回復と防御のみに費やし、仲間のふたりの体力を必死で維持してきたのであろう。乱れた金髪をかきむしりながら、元素術士がぼやいた。
    「俺だって止めたさ! けど、こいつが先に飛び出して行くから! 見捨てるわけに行かないだろうがよ!」
     吹雪に声がかき消されないよう、ロン・マスの青年が大声で答える。
    「わ~った! うるさいっ、耳元でわめくなっ。てめぇの声はただでさえでかいんだ!」
     元素術士とロン・マスの戦士が大声で言い争う後ろから、アインの若者が黙々とついて行く。
     その背には、きらびやかな大剣を背負っていたが、彼がそれを本当に使いこなせるようになるには、まだ相当の修行と実戦が必要かと思われた。
    「あれぐらい、倒せないと……。あいつには勝てないんだ」
     ぼそりと呟くアインの言葉を聞いたふたりが、同時に振り向いて叫んだ。
    「だからって、コヌムベルアにいきなり斬りかかるアホは、ジニアス! お前だけだっ!」
     罵られながらも、ジニアスと呼ばれたアインの青年はあきらめる様子もなかった。
    「次は、絶対に勝つさ!」






     ちょうど1年前、この地で、ジニアスの兄は帰らぬ人となった。
     彼の兄はイントラルックスを出奔したアインを追って、絶滅の軍団の要塞まで攻め込んだ警備隊の一人だった。
     兄の所属していた部隊の全滅の知らせが、遺品の大剣と共にイントラルックスで待つ家族の元に届いた。
     イントラルックス随一の勇者と謳われた男が、何故、トレイターになる道を選んだのか。
     殉死を遂げた者の家族であるジニアスたちにも、その真相は知らされていなかった。

     理由など、どうでもいい。
     彼が、兄を殺した。
     それだけが、事実だった。
     兄の形見である大剣を持ち、兄の敵を討つことを誓い、ジニアスは旅に出た。

     旅の途中で仲間になった二人を巻き込んだのは申し訳ないと思ったが、あの男に勝つために、まずはコヌムベルアくらいは倒せる力をつけたかった。
     コヌルベルアとは、このあたりで戦闘団の要請を受け、ベスティア退治をして旅の費用を稼ぐアドベンターたちも、よほどの自信がない限り手を出さない”ネームド”と呼ばれる強大なモンスターの一種だ。
     3人で果敢に挑んだ結果、散々な目にあったわけだが。
     

     




     
     それはともかく、言い争いを続けても埒があかない。
     気を取り直そうと、元素術士の青年が明るい声を出した。
    「とにかく、この先のセレロステーションまで行こう。そこから1本道で、温泉旅館に行ける筈だ」
     ゆっくりと眠る場所と、暖かい食べ物にありつけることを考えると、3人の足取りは少し軽くなった。


     やがて、目的のセレロステーションが小さく見えてきた。
    「誰か、倒れてないか?」
     視力の優れたロン・マスが、セレロの傍に倒れる人影を見つけた。
    「女の子だ。まだ、息がある」
     駆け寄って、雪に埋もれかけた体を起こすが、意識がない。
    「……アイン?」
     ヒュームにしては大きくしなやかに伸びる手足と、彫刻のように彫りのふかい顔立ちを見て、3人は同時に呟いた。
    「まだ、成人してないのか」
     彼女のしろい額には、成人したアイン特有の第三の目がなかった。
     成人前で、しかも女性のアインがイントラルックスの外にいることはめったにないが、このままにしておくわけにはいかない。
     交代で彼女を背負い、残った体力を振り絞って、3人は温泉旅館を目指した。
     
     




     暖かいベッドの中、ぱちぱちとはじける薪の音で、娘は目を覚ました。
     随分と眠っていたらしいが、目覚めた場所には見覚えがなかった。
     暖炉の火が異様に眩しく感じられ、完全に眼を開けるのが辛い。
     両手で顔を覆い、娘は自分がどうしてここにいるのか思い出そうとした。
     

     あかい花が、狂ったように咲く、そんな夢を見た。
     花は、血の匂いがした。
     舞い散る花は、それでも枯れることなく、咲き続けた。
     不吉な夢のはずなのに、どこか、心地よかった。


    『アクェイン、の 御心の ままに……』


     自分でもよくわからない言葉が、口をついて出た。



     やがて、扉を叩く音がして、一人の女性が部屋に入ってきた。この旅館を守る楽士ヒルタだ。
     彼女は、娘が眼を覚ましたのを見ると、にっこりと微笑みかけた。
    「気がつかれましたか。ここは吹雪の森の温泉旅館です。アドベンターの方が倒れている貴女を見つけて、ここまで運んでいらしたのです」
     扉の向こうから、心配そうに顔をのぞかせる3人の若者の姿があった。




    第3回はカストルさんのところです~

    【リレー小説】第3回 ソルタスの希望?


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    ~ Comment ~

    さっそく

    全く持って予想外の展開をありがとうございますw
    新しい登場人物、いずれはPTを組むと思われる中、アイン女性の父を敵として憎むアインの少年…

    さて、この後は、誰がどう引き継ぐでしょうね?
    1週間ほど待って、誰も名乗りでないようなら、またご相談ください。
    ゆらさんに心当たりあるようでしたら、サーバ問わずプリウスプレイヤーの有志に声かけてくださっても良いですので。

    いやー、一人で考えてるより話しが大胆に動くので、刺激されますね。
    初めての試みですが、面白くなりそうです。

    第2話作成、お疲れ様でした~。

    Re: さっそく

    カストル さま

    感想ありがとうございます~♪
    予想外でしたかw

    善とか悪とかじゃなくって、対立してしまう・・みたいな関係つくりたくって
    こんなんなりましたw

    ガンナちゃんとかフェミナさんとか楽士さんも
    今後どんどん出てきたら面白いな~と個人的には思いますです。

    次の展開がまったくわからないところが面白いですね~
    さて、続き書いてくださる方募集中なんでございますよ。

    うーむ

    続編執筆希望がないですねー。
    サキさんは、自作の方で手いっぱいみたいな雰囲気だし。

    まぁ、テスト的に始めたようなモノだから、適当に進めてみます。
    ということで、続きはボクのほうで書こうかなと思います。
    良いですか?

    Re: うーむ

    カストル さま

    ですねぇ~・・・
    続きよろしくお願いします。
    次の展開楽しみです♪
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