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    「幕恋-etc.-」
    以蔵、苦労す

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    4.

    「お帰りやす。おや、未夜ちゃんとは会えまへんどしたんか」
     ひとりで帰った僕を見て、女将が首を傾げる。
    「ええ、まあ……どうやら行き違ったようですね。これ、どうぞ」
     甘いものを買ってくると云って出た手前、女将に土産を買うのを忘れない程度には、僕は落ち着きを取り戻していた。
    「やぁ、おおきに。おや、今日は宝積屋さんとちゃいますんやねぇ、珍しい」
    「たまには、ちがう店のものを、と……」

     宝積屋に寄るには、未夜さんと以蔵がいた店の前を通らねばならず、寄ることが出来なかったのだ。

    「お、武市戻ったんか。今日の饅頭はこしあんかの」
    「武市さん、お帰りなさいっス。俺は今日は粒あんの塩豆大福と見ましたっ」
     ……こいつらは、まったく。
     僕が出掛けるのは、宝積屋に行く時しかないとでも思っているのか……。

    「期待させて悪いが、今日は手ぶらだ」
    「ええ~、武市が出掛けたち聞いたき、楽しみにしちょったんじゃがの」
    「外で、たらふく食った者もいるし、今日はなしだ」
     まったく、僕は甘味屋の回し者か?
    「なんと、誰じゃそれは」
    「ここに居ない人だろうから、以蔵くんっスね。ずるいなぁ」
     以蔵に食い物の恨みを買わせてしまったようだが、知ったことではない。
     夕餉まで、ひとりになると云って、部屋に戻る。
     

     部屋に戻って落ち着いてみると、自分の心の狭さにうんざりした。
     以蔵にも、僕に云いにくいことのひとつやふたつあろう。
     師弟だからといって、何もかもを僕に話さなければならないわけではない。
     僕には秘密で、未夜さんになら話せることが……あるのだろう、きっと。

     けしからん……。
     い、いや、そうではなく。
     師匠として、もっと広いこころを持たねば。

     剣にしか頼るもののない以蔵に、他に向かうものがあるならいいことではないか。
     しかし、それが未夜さんだというなら話は別だ!
     い、いや、だからそうではなく……。

     気が滅入るだけの夜が過ぎて行く。

     



    5.

    「では、俺はこれにて、下がらせていただきます」
     次の日も、以蔵はそわそわと部屋へ下がろうとした。
     この後、未夜さんとまた何処かへ出かける約束でもあるのだろうか。
     胸に、ちりりとしたものが走った。

    「いや、待て。以蔵。すまないが、ひとつ頼みたい用を忘れていた」
     つい、そんな嘘をついて以蔵を引き止めてみたくなった。

    「あ、あの。それは急ぎの用でしょうか」
     おずおずと、遠慮がちに聞き返してくる。
    「無論だ。頼まれてくれるな」
     云いながら、『急ぎの用』を考える。

    「実は昨日、宝積屋の饅頭を買いそこねたもので、龍馬たちの機嫌が悪くてな。今からなら塩豆大福の売り切れに間に合うだろう。ひとっ走り行ってきてくれ」

     大福など、今は心の底からどうでもいい用事だ。

    「龍馬のやつ! 先生に大福をせびるなど、どういうつもりだ。解りました、俺が龍馬にがつんと云ってきます!」

     まずい。話が変な方向へ流れそうだ。

    「い、いや。そんな事はしなくていい。と、とにかく、宝積屋だ。あの店の塩豆大福を買ってきてくれ!」
    「は、はあ……」
    「僕の頼みが聞けないと云うのか」
    「い、いえ。そういうわけでは……行ってまいります」

     僕の押しに負け、以蔵は必要でもない大福を買いに出かけていった。


     そろそろ以蔵が戻るかと思う頃、襖の向こうから未夜さんの声がした。
     ……以蔵と、外で会う約束をしているのではなかったのか。

    「武市さん、塩豆大福、買ってきましたよ」
     未夜さんは僕が以蔵に言いつけたはずの大福の袋を渡してくれた。
    「これは以蔵に頼んだはずですが……」

    「あ、以蔵はちょっと、用事ができてしまって……わたしが代わりに行ってきました。塩豆大福、ぎりぎりでしたけど、間に合いましたよ」
    「そうですか。手を煩わせてしまってすまなかったね」
     嬉しそうに笑う未夜さんを見て、ほっこりとした気持ちになると同時に、以蔵に申し訳ないことをしたと心のなかで詫びる。

    「それにしても、以蔵にそんな急ぎの用があったとは」
    「そ、そうですねっ。で、でもほら、以蔵にもきっとわけが……」
     ……どうも、何かを隠しているな。
    「そうですか。寂しいものだ。僕に秘密など……」
    「あわわっ! 武市さん、そんなんじゃないです。以蔵に秘密なんか……ええ、もう、全然!」
     ……本当に、彼女は解りやすい。

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