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    「幕恋-etc.-」
    以蔵、苦労す

    以蔵、苦労す-2-

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    2.

    ―――未夜―――

     寺田屋の女将さんのお手伝いで、わたしはとあるお寺にお遣いに来ていた。
     お住職さんが女将さんに宛てる書状を書く間、中で待たせてもらうことになった。
     このお寺の縁側から見るお庭はほんとにきれいで、待っている間も退屈しない。
     のんびりお庭を眺めていると、本当はお遣いなんて口実で、女将さんはわたしに気晴らしさせてくれてるんだろうなって思う。
     だって、このお寺にお遣いするときはいつも、

    「寺田屋の女将はお遣いに出す娘に、ろくな着物も着せてへんやなんて云われたら困りますさかいな」

     なんて云って、女将さんはいつもより上等な着物を着せてくれて、髪もきれいに結ってくれて、お駄賃までくれる。
     作りすぎた『小芋さんのたいたん』をお裾分けに行くだけに、こんなおめかし、必要ないよね?
     これじゃ、お手伝いっていうより、ただのお庭拝見だよ……。

     みんなが忙しい中、自分だけのんびりさせてもらってるのは心苦しいんだけど、きれいな着物はやっぱり嬉しい。
     わたしは、ちょっとだけお嬢様になった気分で、お茶をいただきながら、大きな池のあるお庭を眺めた。
     
     少し前までは楓が鮮やかに紅葉していたけど、今はすっかり葉も落ちて、お庭も冬模様だ。
     葉っぱの落ちた木の枝にとまった雀が、寒そうにお腹をふくらませている。
     武市さん風にいうと、こういう冬のお庭も、趣があるっていうのかな。

     縁側から少し顔を出してみる。
     奥の方で、誰かが作業してるのが見えた。
     これだけ広いお庭って、お手入れ大変なんだろうなぁ。
     冬は落ち葉も減るし、お掃除が楽って思ってたけど、冬には冬で、木につく害虫を退治したり、寒さに弱い木に藁を巻いたり、それなりに大変なんだよねぇ……。
     もちろん、専門的な作業は植木屋さんがするんだろうけど、毎日のお手入れは誰かがしなくちゃいけないし。
     お庭を見せてもらってるお礼に、お掃除くらいは手伝いたいなぁ。

    「あの~、何かお手伝いできることありませんか」
     作業してる人に声をかけてみた。
     それにしても、この、見てるだけでも寒さの倍増する服装の後姿は……。

    「いや、もう終わるので。それにこれは俺の仕事だから……って、お前っ! なんでここにいるっ!」
    「あーっ! やっぱり以蔵っ! そっちこそ、こんなところで何してるの」
    「そ、それはだな……い、いや。やっぱりいい。お前に話しても仕方がない」
    「あっ、そういう態度とる? 今晩のおかずにニンジン入れるよっ?」
    「なっ……そういう脅しは卑怯だぞっ」

     静かなお庭が、すっかり騒がしくなって、気がつくとお住職さんが笑いをこらえてこちらを見ていた。
    「ほっほっ。お淑やかな別嬪さんや思うてたら、これは元気なお嬢はんや。お登勢さんが気に入るはずどすなぁ」
     あ~ん、せっかくお嬢様ぶってたのに、台無しっ。
     以蔵のせいなんだからぁ……。




    3.

    ―――武市半平太―――

     行く道で、未夜さんとは出逢えなかった。
     違う道を通ったのかもしれないし、もしかするとまだ、寺での用が済んでいないのかもしれない。
     わざわざ寺のなかまで訪ねる用事もなく、そこから道を変えて、帰りまでの散歩をする事にした。

     彼女がいないのは残念には思ったが、冬の京の街を、こうしてゆっくり歩くのは久しぶりだ。
     年の瀬の支度で活気にあふれた街の通りを、何処を目指すでもなく歩く。
     ああ、土産も忘れないようにせねばな。
     宝積屋の饅頭は、未夜さんも大好きだから。


    「……あは、あはは」


     ふと、未夜さんの笑い声が聞こえて、僕はあたりを見回した。
     一件の甘味屋の軒先で、未夜さんが誰かと笑いあっている。
     遣いを終えて休憩しているのだろう。
     いつもより、随分とめかしこんで、珍しく髪を結い上げた彼女は、本当に楽しそうにしていた。
     それよりも……連れの男の、見るからに寒そうなあの格好は……。

    「……よかったね、以蔵」

     やはり、以蔵か。こちらからは顔は見えないが、お前も随分と楽しそうじゃないか。
     声をかけようかと思って、聞こえてきたふたりの話に、それをためらう。

    「ああ……先生には、内緒だぞ」
    「もちろん、ふたりだけの……秘密、だねっ」

     ……僕に、秘密。何がだ?
     こうして、ふたりで甘味を食べていることを、か?
     気に食わないな。
     秘密にせねばならない事か? 僕がそんな事も許さない程、心が狭く見えるか?
     それとも、もっと他に、僕に後ろめたいことをしているのか?


     べ、別に、以蔵が未夜さんと親しくしようが……そ、それをどうこう云うつもりはない。
     秘密。秘密だと? 師匠の僕に向かって、秘密か。
     いい度胸じゃないか。

    「……ね、以蔵……」
     未夜さんがそう云って、以蔵に近づいて手を伸ばす。
     以蔵が背を屈めると、その影で未夜さんの姿は遮られた。

     僕は黙ってきびすを返し、通りを一本外してその場を通りすぎた。
     ふたりの前を通りたくなかったし、これ以上はふたりを見ていられなかった。
     
     以蔵が誰と親しくしようが構わんが、僕に秘密にせねばならない付き合い方なら話は別だ。
     秘密。秘密だと……?
     秘密で未夜さんに不埒な真似を……許さん。絶対に許さん。

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