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    「Coyote-幕恋 沖田 風√ 捏造-」
    Wonder Underground

    Wonder Underground 1

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    序章-未夜-


    「その着物さ……」
     朝ご飯を部屋に運んだときに、総司くんがぽつんと云った。
    「似合ってないよね」
    「えっ、そうかな……」
     朝から、いきなりの発言に、ちょっとショックを受ける。

     今、着てるのは、薩摩藩邸の女中さんから、着替えにと渡されたもの。
     女中さんたちのお仕事用かと思ってたら、大久保さんのお見立てだったらしい。
     自分では、けっこう気に入ってたりしたんだけど……。

     今年最初の夏物を着たから、総司くんに最初に見て欲しくて。
     急いで朝ご飯も運んだのに。

     ふたりで食べる朝ご飯。
     なんとなく気まずい。

    「薬。切れちゃったから、買って来るね」
    「うん。いってらっしゃい」
     総司くんの、ものすごく無理なつくり笑顔。はじめて見た。
     

     総司くんが出掛けてから、お膳を片付けようと立ち上がる。
     ぽつんと、ひとり残された部屋が、いやにひろく感じた。
     
     ……このお部屋。こんなに、広かったっけ?

    「え? やだ……」
     お茶碗を持ち上げようとして、わたしは軽く叫んだ。
     
     だけど、きっと、それは誰にも聞こえてないと思う。
     
     
     ――――――お部屋がどんどん大きくなって、まわりはぐるぐる膨らんでいく……
     
     




    1.-総司-

     朝は、未夜に悪いことしちゃったな。
     本当は、すごく彼女に似合ってたんだ。
     白藤色の絽の着物は、白くて血色のいい未夜の肌によく映えて。
     白と濃紫で濃淡をつけた大振りの藤の模様が、彼女をいつもよりも少しだけ、大人っぽく見せた。

     あれを見立てたのが、大久保さんじゃなくて、あの柄が、藤じゃなければ。
     良く似合ってるよ、と素直に褒めたんだろう。

    「夏物の着物、見に行こうか」

     おはよう、の後で、云おうと思っていたその言葉が、喉の奥でつかえた。
     本当は、誰よりも先に、彼女に夏物を用意してあげたかっただけなんだ。
     つかえた言葉の代わりに、あんな酷いことを云ってしまった。

    「そ、そうかな……」
     しゅん、と沈んだ未夜の声に、しまった、と思った。
     その後、特に喧嘩になったわけでもないけれど、しぃんと澱んだ時間を感じながら、ふたりで朝餉を終えた。

     気まずいまま、薬がきれてるから買ってくると云って藩邸を出た。
     嘘ではなかったけど、なんとなく、帰りの足が重い。
     土産にみたらし団子を買ってみたけど、ご機嫌伺いみたいでなんだかなぁ……。
     ぼんやりと帰りの道を歩きながら、大きな呉服屋の前にさしかかる。

    「あ、そうじお兄ちゃんっ」

     聞き覚えのある甲高い声に振り向くと、店の前で小さな女の子が手を振っていた。
     時々遊んでやってた、屯所の近所に住んでいる子供だ。
    「あれ、君は……お久しぶりだね。ずいぶん遠くまで、お家の人と買い物かい?」
    「お母はんと来たんやけど、おかいもんの邪魔やさかい、お外で待っときいわれたん」
     彼女は、つまらなそうに口をとがらせて、僕を見上げる。
     彼女の母親は、この呉服屋で買い物に夢中らしい。
     無用心だなぁ。この辺、そこまで治安がいいわけじゃないのに。

    「ねぇねぇ、お兄ちゃん、ごふくやさんごっこしよう~」
     袖をひっぱられて、無邪気に誘われる。
     朝からもやもやした気分を、僕は少し紛らわせたくて、彼女の遊び相手を引き受けた。
    「おいでやすう。きょうは上のおじょうさんの、晴れ着どすかぁ」
     店の人の口真似をしながら、彼女は数枚の端切れを出して僕に見せた。
     手拭いほどの大きさの、端切れというには豪華な布地。
     きっとこの店でもらった反物の染め見本か何かだろう。
     
    「これなんか、ようお似合いどすえ~」
    「そうやねぇ~。うちの子は、こっちの紫陽花のほうが喜びそうやねぇ~」
     何枚かある中から、藍白に淡紅色のちいさな紫陽花の模様の端切れを差し出して、彼女の客になる。
    「あははっ。お母はんのしゃべり方とそっくりやぁ~」

     結局、買い物を終えた彼女の母親が店から出てくるまで、僕たちは呉服屋さんごっこをしていた。
    「あら、まあ、沖田はんやおまへんの。お久しぶりどす」
     店から出てきた母親は、気さくに挨拶をしてくれる。
     どうやら、僕が新撰組を抜けたことは近所には知られていないらしい。

    「すんまへん、うちの子がご迷惑かけたんちゃいますやろか」
    「いえ、こちらこそ、気晴らしになりました」
    「お兄ちゃん、おおきに。これ、あげる」
     彼女が渡してくれたのは、さっきまで遊んでいた端切れだった。
    「これ、そないなもん。塵になるだけやがな……もう、ほんま、すんまへん」
     母親はすまなそうにしているけど、小さな彼女にとっては宝物を僕にくれたんだろう。
     ありがたく受け取る。
    「それで、おにんぎょさんのきもの、作ったげたらええよ」
     えっへん、と云わんばかりに教えてくれる彼女の誇らしげな顔が愛らしくて、思わず笑みがこぼれた。
    「そうだね、ありがとう」
     そういえば、近所の子たちにせがまれて、人形のきものを作ってやったことがあったっけ。
     けっこう、自分でも上手く作れたと思ってたけど、もしかして、普段から僕が人形遊びをしていると思われたんだろうか。
    「よし、じゃぁ、上手く作れたら、君のお人形さんにあげるね」
     次に会えるかどうか分からないけど、そんな約束をして、母親と帰っていく彼女に手を振った。


    《続く》

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