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    「幕恋ー武市半平太-」
    桜咲く夜のなか―As You Like It―

    桜咲く夜のなか―As You Like It―2

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    未夜Side

    『今走り去ったのは、武市か?』
    『何っ!? 追えっ!』


     ……!
     武市さん、見つかった?
     思わず後ろを振り返る。
    「振り向くな! 走れ!」
    「で、でも! 武市さんが」
    「先生はわざと、あいつらの注意を引いてくださっている! お前がそれを無駄にしてどうする!」
    「ごめん、そうだね。行こう!」

     以蔵だって、武市さんが心配なはず。
     わたしが足をひっぱっちゃいけないんだ。
     
     わたしたちはひたすら走って、安全な場所までくると、息をつく時間ももどかしく寺田屋に戻った。

     寺田屋では、夕飯の用意がすでに出来ていて、龍馬さんと慎ちゃんがちょうど席についたところだった。
    「おう、戻ったか。……その様子じゃと、まったく無事だったっちゅうわけではなさそうじゃの」
     息を切らせたわたしたちを見て、龍馬さんの顔が曇る。
    「ああ、見廻りに出くわした」
     以蔵は冷静な声で、そう答えた。
    「それは大変じゃったのう。それで武市がここにおらんのか」
     全部は訊かずともわかる、という様子で龍馬さんが返す。
     武市さん、やっぱりまだ帰ってない……。

    「未夜さん、心配せんでもええ。武市はじきに戻ってくるきに」
    「そうっスよ、姉さん。武市さんは、簡単に捕まるようなヘマはしないっス!」
    「は、は・・・い・・・ゼェゼェ・・・」
     ふたりに返事をしたいけど、息がきれて、上手くしゃべれない。

    「……先に、落ち着いたほうがいいっスね。はい、姉さん、水っス」
     慎ちゃんが、湯呑に入れたお水を渡してくれる。
    「あ、ありがと・・・慎、ちゃん……」
     わたしはそれを一気に飲み干したけど、ちいさな湯呑じゃまだ足りない。
     それだけ、必死で走ってきたんだ。
     ちらっと横を見ると、以蔵はもう、とっくに普通の呼吸に戻って、ご飯を食べ始めてる。
     やっぱり、鍛え方が違うんだな。私ももっと体力つけなきゃ……

     もうちょっと、お水……と思って、わたしは湯呑のお水をもう一杯飲み干した。
    「あああーっ! 未夜さん! そいつはいかん!」
     龍馬さんが叫んだけど、わたしはもう飲んじゃってて……
     ……あれ? さっき、わたし、慎ちゃんにもらったお水、全部飲まなかったっけ?
     じゃぁ、今飲んだの、…………何?


    「…………きゃはっ! きゃはははっ! もぉ、今日はほんとに大変らった、んれすよぉ~」
     あれ? なんか、楽しくなってきちゃった……
    「なんかね~、しんせんぐみのひと、いっぱいでぇ~。それで、わらし、はしって~」
     なんか、うまく話せないなぁ~。
    「らって、たけちさん、が、ひっく・・・・・・みつかっちゃって……うぃっく」
     そうだ、武市さん、大丈夫かな。
    「あるぇ? たけちさん、ろこぉ・・・?」





    武市Side

    「つまり、水だと思って湯呑一杯の酒を、一気に呑んだ……と」
     僕にしがみついて離れない彼女を、どうにか座らせて、皆に事情を聞いた。

    「ひっく……うぃっく……武市さん……くすん、くすん」
     だいぶ落ち着いてはきたが、今度は静かにすすり泣きをはじめる。
    「未夜さんは、どうやら泣き上戸のくちか」
     酔うと、本音が出るものだ。
     僕の安否を、どれほど気遣ってくれていたのか。ここまで泣くほどに。
    「心配をかけて、すまなかったね」
     ぽんぽんと、彼女の頭を撫でながら、なにやら胸が暖かくなるのを感じ、思わず笑みがこぼれる。

    「笑い事やないぜよ、武市……」
    「姉さん、笑い上戸から怒り上戸を通って、以蔵くんをいっぱつ殴って、泣き上戸にたどり着いたところっス」
     龍馬と中岡が、疲れ切った様子で口々にそういった。
    「以蔵を、いっぱつ……」

    『いぞぉぉぉ! ひぃっく! なんで、武市さんのとこに、行かせて、くれなかったのぉっ! もぉ! ぱーんち!』

    「あ、『ぱんち』っていうのは、拳で相手を殴ることみたいっス……」
     中岡がいらぬ説明をしてくれる。
    「拳で……頬が腫れているのは、そのせいか」
    「ありゃ、ほん、えい踏み込みじゃった。惚れ惚れしたぜよ」
    「泣き上戸の前に、以蔵くんに馬乗りになって、人参を食わせようともしてたっスね……」

    『いぞぉぉぉ! ほーれ! これを食らえぇぇぇ! このぉ! 口、あけろぉぉ!』
     
    「それで、以蔵は先ほどから部屋の隅で固まっているわけか」
     よく見れば、以蔵は、目を開いたまま、気絶しているようだ。
     これでは、次からは人参を見ただけでも気絶しそうだな。我が弟子ながら、まったく……

    「ほんに、未夜さんは以蔵と仲がええのう……」
    「龍馬さん、これ、羨ましいっスか?」
     憐れみの目を以蔵に向けながら、中岡があきれた声を出す。
     中岡の疑問はもっともだ。……いや、そんなことより。

     こうして事情を訊いているあいだ、彼女は僕の隣にぴったりと座り、しくしくと泣き続けていた。
    「未夜さん、今日のところは休んだほうがよくはないですか?」
     少し肩をゆらして話しかける。
    「だ、だいじょうぶ、れす……たけちさ、のご飯、終わるまで、まってまふ……」
     明らかに、大丈夫には見えない。

    「いいから、今日はもう寝なさい。部屋まで送ろう」
     すると、彼女が泣きはらした瞳をこちらに向けた。
    「た、たけちさ・・もいっしょ…いってくれ、る?」
     僕の袖をしっかりと掴んで、たどたどしい声を出す。
    「ん? あ、ああ。部屋までついて行ってあげるよ」
     なにやら、いつもと様子がちがうが、酔っているせいか。
     足元のふらつく彼女を支えて立たせると、僕の腕にぴったりと寄り添ってくる。
     腕にじんわりと、彼女のぬくもりが伝わるのがわかるほどに。
    「ふっ。役得だな」
     僕の一言に龍馬が絡んでくるかと思ったが、今日は気力を使い果たしたらしい。
    「武市、今日のところはおまんに頼んだぜよ……」
     語尾も弱々しく云われると、なんとも張り合いがない。
     どれほどの暴れ方をしたのか、気になるところだ。

    「武市さん、お願いするっス。今日の姉さんは、武市さんの云うことしか聞いてくれそうにないっス」
     やれやれと云わんばかりに、中岡がため息をつく。
    「これはまた、信用されたものだな」
    「武市さんは、酔った女子相手にどうこうするお人じゃないっスから」
     これは、釘を刺されてしまったな。
     にこやかにそういうが、眼が少しも笑ってないぞ、中岡。
    「心配するな。心得ている。酔につけ込む真似はしない」
    「酔ってなかったら、どうなんスか?」
    「……とりあえず、未夜さんを寝かしつけるのが先だ」
     中岡の云いたい事は、分かっている。が、ここは聞こえない振りをさせてもらおう。

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