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    「幕恋ー武市半平太-」
    桜咲く夜のなか―As You Like It―

    桜咲く夜のなか―As You Like It―1

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    武市Side

     長州藩邸への所用からの帰り道、運悪く新撰組の見廻りに出くわした。
     いや、運が悪いわけではない。予想通りというべきか。
     高杉さんを、少しばかり恨む。
     帰りが予定より遅くなったのは、彼がいつもの調子で「俺の嫁」だの「面白娘」だのと、未夜さんを離さなかったせいだ。
     かといって、彼女を連れて行かなければヘソを曲げ、なかなか話が先に進まないのだから手に負えない。
     おかげで、我々はわざわざ危険を冒して、見廻りのいる時間帯に帰路に着くことになったわけだ。

     幸い、向こうはまだ、こちらには気付いていない。
    「二手に分かれる。以蔵は未夜さんを連れて先に戻れ」
    「先生は?」
    「僕は、やつらを撒いてから戻る」
    「……分かりました。お気をつけて」
     以蔵は一瞬、何かを云いたそうな表情を見せたが、すぐに答えて彼女を自分の背にひきよせた。
     以前の未夜さんは、こんな場面に出くわすと、囮を買って出るなど、随分と手間を取られる無茶もしてくれた。
     だが、近頃は状況をよく察知して、彼女も素直にしたがってくれる。

    「心配しなくていい。すぐに、追いつきます」
     不安そうな目をこちらに向ける彼女に笑いかけ、以蔵に念を押す。
    「僕ひとりならなんとでもなる。お前は未夜さんを必ず守れ」
    「必ず! おい、いくぞ! 先生もご無事で」
     ふたりが角を曲がるのを確認し、僕は新撰組の注意をこちらに向けるために、月明かりの中に走り出た。

    『今走り去ったのは、武市か?』
    『何っ!? 追えっ!』
     
     案の定、僕に気付いた何人かが追ってくる。
     単純なものだ。逃げ切れる計算もなく、僕がこんな挑発的なやり方をするとでも?
     しかし、敵もさるもの。
     思ったよりも追手の数は多く、完全に撒くのに少々時間がかかってしまった。

     なんとか、こちらは無事に寺田屋にたどり着けたが、未夜さんは……いや、ふたりは無事だろうか。
     何事もなければ、とっくに着いて、今頃は夕餉をとっているはずだが……。






    「お帰りやす。先に皆さん、お夕飯あがってはりますえ」
     出迎えてくれた寺田屋の仲居から聞かされ、やっと安堵する。
    「先生の分も、すぐお持ちしますさかい、お部屋で待っとっておくれやす」
     礼を云って、皆が夕餉をとっている部屋に着くと、いつもとは違う騒がしさがそこにあった。

    「いやぁぁあ! 武市さん! 武市さん!」
     障子を開けようとした瞬間に聞こえたそれは、未夜さんの叫び声だった。
     いや、悲鳴といった方が正しい。

     まさか、あいつら、彼女に不埒なことをしているのではあるまいな!
     いや、龍馬たちに限って、そんな愚かなことはしないはずだ。
     しかし、酒の勢いということがない、とまではいいきれない。
     特に龍馬は、普段から彼女を特別な目で見ている。
     だが、龍馬が乱心したとして、中岡や以蔵が止めるはず。
     もしも、その中岡が、今日に限って酔いつぶれていたとしたら……
     そもそも、中岡にしても、彼女を好ましく思っていないはずはない。
     まてよ、以蔵とて、本人こそ認めていないが、彼女とはかなり仲がいい……

     一瞬、口にするのもおぞましい、最悪の妄想が…いや、事態が、頭をよぎる。
     カッと、全身が熱くなった。
    「貴様ら! 何をしている!」 
     わざと音をたてて、勢いよく障子を開け、僕が目にしたのは・・・・・・。

    「ひっく。ひっく……ふぇぇぇん! 武市さぁん!」

     ひたすら僕の名を呼びながら、声を上げて泣く未夜さんと、大の男三人の、途方に暮れた顔だった。

    「いったい、何の騒ぎだ」
    「おおぅ! 武市か。助けてくれい! わしにはもう手にあわんちや」
     龍馬にしては珍しく、困りきった声をあげる。
     以蔵は放心しきった様子で、壁にもたれて座り込み、唖然と未夜さんを見ている。
     左の頬が腫れているようだが、追手と揉み合いにでもなったか?

     見れば、この夕餉の膳の散らかり具合は、散々呑んだ宴会も終わろうかという頃の有様を思わせる。
     どうも、相当飲んで暴れた者がいるらしい。
     
    「姉さん、お、落ち着いて! ほっ、ほらほらっ! 武市さんが帰ってきたっス!」
     中岡が子供をあやすように、泣きじゃくる未夜さんを必死になだめている。
    「ように」どころか、未夜さんの泣きっぷりはまさに、小さな子供そのものだ。
    「ほら、云ったじゃないっスか。武市さんはすぐ帰って来るって。泣き止んでくださいっス」
     中岡の言葉に彼女は顔を上げると、僕を見るなり飛びついてきた。

    「武市さん? 武市さんっ! 武市さんっ! ふぇぇぇん!」
    「み、未夜さん? いったいどうしました?」
     勢いをつけて飛び込んできた彼女を受け止める。
     僕は事態が飲み込めないままも、思わず彼女の背に手を回してしまう。
    「おまんの帰りが遅いんで、未夜さんは心配でたまらんかったんぜよ」
     僕にすがりついて泣いている彼女の頭を、龍馬がよしよしと撫でる。
     その、愛おしそうに彼女を見る目が、僕には何故か気に喰わない。

    「心配してくれるのはありがたいが、今に始まったことではないだろう」
     その龍馬の手から引き離すように、未夜さんを引き寄せて訊く。
    「何故、今日に限ってこんな騒ぎになっている」
     と、彼女を包んだ懐から、ふわりと酒の匂いが漂う。
     ……なるほど、ようやく事態が少しは飲み込めた。

    「で、だれだ。未夜さんに酒を呑ませたのは」

    《続く》
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