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    「幕恋-沖田総司-」
    浅葱の空の甘い夏

    浅葱の空の甘い夏2

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    「平助くんたちは、お饅頭食べて、毎日元気なのかな」
     食べながら、そんなことを訊いてみた。
    「そればっかりじゃないけどな」
     うん、まさか、甘いものばかり食べてるから夏ばてしないってわけないよね。
    「総司なんか、熱い汁粉も食ってるぜ」
    「……えっ?!」

     この暑さのなかで、熱々のお汁粉……。
     聞いただけで眩暈がしそうになった。
     わたしのびっくりする様子が面白いのか、平助くんは悪戯っぽく笑っている。

    「そういえば、今日は非番だからさ。総司と甘味屋行くんだけど、あんたも来るかぁ?」
    「え、行く行くっ」

     甘味屋と聞いて、即答してしまった。
    「ははっ。一気に元気が出たみてーだな。あ、それとも総司に釣られたかぁ?」
    「えっ、何それっ」
     沖田さんの名前を出されて、何故かたじろぐ。
     平助くんは、そんなわたしを面白そうに見るだけだった。


     甘味につられて、ふたりについてきたものの、外は、屯所以上の暑さだった。
     京都の夏って、暑いっていうけど、これほどとは……。
     日がじりじり照り付けて、地面が眩しい。
     皮膚が焦げそうなくらい暑いうえに、湿気もものすごい。


    「うひゃ。さすがにあっっっついな」
    「ふにゃ……溶けそう……」
    「溶けそう……って。面白いこと云うね。ほんとに溶けちゃだめだよ」
     くすくすと笑ってわたしを見る沖田さんは、涼しげで、汗ひとつかいてないように見える。
     暑さなんか忘れたように、楽しげに歩く沖田さんを見ると、少しだけ暑さが飛んでいくように感じる。
    「なんか、沖田さんのまわりだけ、涼しい風が吹いてるみたい」
    「ああ、あいつなら有り得る……」
    「平助くん、聞こえてるよ。また人を化け物扱いして」
    「いいや、あんたは色々と人間離れしすぎだっ」
     扇子でぱたぱたと仰ぎながら、そういう平助くんだって、口で云うほど暑そうに見えない。
     そりゃ、熱いお汁粉だって飲めるはずだよ……。ふたりとも元気だなぁ。
     って、もしかして今から行く甘味屋さんて……。

    「ねね、平助くん、もしかして、今からお汁粉食べに行くの?」
     恐る恐る訊いてみた。
     この炎天下のなかを歩いて、熱々のお汁粉を食べに行く……。
     それは、何の罰ゲームですか……?
    「美味いもんだぜ。それに、暑い日には、思い切って熱いもん食うほうが涼しくなるんだ」
     ……ほんとかなぁ。

    「ん? 未夜さん、お汁粉が食べたいの? じゃぁ、あの店がいいかな」
     なんか、お汁粉食べることに決まっちゃったみたい……。
     でも、平助くんの云うとおり、思い切ってお汁粉食べたら、この暑さも乗り切れるかも。
     ……ていう気がしないでも、ない。
     いつまでも、夏ばてでみんなに心配かけてても迷惑なだけだし、それに……。

     ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ。沖田さんと同じこと、してみたかった。

     ぽんっ。

     ふいに、頭の上に重みがかかって、わたしは隣を見る。
     わたしの頭に手を置いて、にっと笑う平助くんと目が合った。
     





     お汁粉ときいて、沖田さんは竹の茂る林を抜けたところにある一件茶屋に連れて来てくれた。
     静かで風通しのいいお店の中は、思ったよりも涼しくて、席についたときには汗がひいていた。

     お店の人が、わたしの前に大きなお椀に入ったお汁粉を置いてくれる。
     正直、熱々のお汁粉からたつ湯気を見ただけで、くらっと眩暈がしそうなんだけど。
    「い、いただきますっ」
     意を決して、お箸をとって、お椀に手をかけて、気がついた。
     沖田さんと平助くんの前にあるの、葛きりと水饅頭に見えるんですけど。
     なんか、とっても涼しげなんですけどっ!

    「未夜さん、真夏にお汁粉ってすごいね。見てるこっちも元気になりそうだ」
     沖田さんは、一瞬目を丸くして、それから愉快そうに笑った。
     それは、どう考えても、夏の暑いときに熱々のお汁粉を食べてる人の反応じゃない。
     その隣で、平助くんが必死で笑いをこらえてる。
     わたしは、平助くんにからかわれてたんだと、やっと気付いた。

    「あの~ぉ……平助くん?」
     ちょっと、震え声になりながら、平助くんを睨みつける。
    「わ、悪かった! ほんの冗談だったんだ。まさか本気で注文するなんて思わなかったんだってばよ」
     そう云いながら、平助君は、堪えきれなくったみたいで、からからと笑い出した。
    「え、何。どうしたの」
     話の見えない沖田さんが、きょとんとして平助くんに訊いた。

    「いや、未夜が暑さでへばってたからさ。総司はあっつい日でも平気で汁粉食ってるって云っただけだよ」
    「ああぁっ! 平助くんっ! それ云っちゃだめっ!」
     慌てて叫んだけど、もう遅かった。
    「やだ、もう……なんでそんなことばらすかなぁ」
     今までの暑さなんか、どこかにいっちゃうくらい、顔が熱くなる。

    「えーと、それは……」
     気まずそうに呟く沖田さんの頬が、少し赤らんだ。

     何かを云おうとして、ためらって。
     かわりに、ふわりと沖田さんは微笑んだ。

     ことん……。

     わたしの前に、葛きりの器が置かれる。
    「えっと……?」
    「まだ、手つけてないから。交換、ね」
     そう云って、沖田さんは、わたしの熱々のお汁粉を、おいしそうに食べ始めた。

    「なっ。総司は平気で食ってるだろ」
     平助くんはにこにことして、わたしの頭に、ぽんっと手を置く。
     そのまま、平助くんは沖田さんに向かって笑いかけた。
    「ここは当然、総司のおごりだよなっ?」
    「やられちゃったなぁ、もう。……承知っ」
    「俺は、未夜の『お兄ちゃん』だからなっ。妹のことは何だって分かるんだ」
     平助くんは満足そうに頷くと、あっというまに葛きりと水饅頭をたいらげて、席を立った。
    「んじゃ、邪魔者は去るわ。総司、俺の妹泣かすなよっ」
     あっけにとられて、何も云えないわたしの頭に、もう一度「ぽんっ」と手を乗せてから、平助くんは先に帰ってしまった。

    「う~ん、すごい借り作っちゃったなぁ」
     平助くんを見送った後、ちょっと困ったように肩を竦めて、沖田さんが笑う。
    「さて、この後なんだけどね」
    「は、はいっ」
     なんだか、まだ事態が飲み込めなくて、裏返ったような変な声が出る。
    「んと……とりあえず、君に日傘買ってあげたいんだけど、歩くの大丈夫?」
    「日傘……?」
    「うん、まだまだ暑い日は続くし。また、僕と甘味食べに出掛けてくれるでしょ?」

     暑いのなんか、とんじゃうくらい涼しい顔で、沖田さんが笑った。
     熱々のお汁粉、今なら、何杯でもおかわりできそうな、真夏のある日――――――

     


     ――――――END――――――
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