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    「幕恋-沖田総司-」
    花より団子と沖田さん

    花より団子と沖田さん

     ←君の死の窓辺 →からくり―ある雨の日の前に―沖田編―
     今日も寺田屋で、大事な会合が行われることになった。
    「それじゃ、わたしは、これからお茶菓子を買ってきますね」
     こんな日は、わたしは会合のあとで出すお菓子を買いに出かけることになっている。
     そう、高杉さんが到着する前に。
    「いつも、すまんの。高杉さんが未夜さんと遊び始めると、話を始められんきに」
     龍馬さんが申し訳なさそうに、お菓子の代金を渡してくれる。
    「とんでもない。気分転換のお散歩になって楽しいです。それに」
    「美味い干菓子も見つけられる……じゃったかの」
     龍馬さんが、にっと笑って云った言葉は、わたしが高杉さんから教えてもらった「生き抜く秘訣」だ。
    「はい♪ 今日もとびきり美味しいお菓子を探してきますね」
    「ほんに、未夜さんは美味い菓子を見つけるのが得意じゃの」
     へんなところで龍馬さんが褒めてくれた。
    「未夜さんが楽しそうに笑ろうとるのはええことじゃ。わしも元気をもらえる」
     そういう龍馬さんの「にっ」に、わたしはいつも元気をもらってるんだけどね。
     今日も、その元気をもらって、わたしは出かけて行った。


     ひとりでお遣いに出ると、ついやってしまうことがある。
     それは、京の街にあるたくさんの茶店の中に、沖田さんの姿を探してしまうこと。
     沖田さんは新撰組の人だから、会わないようにしなくちゃいけないのに。

     あ、ほら、今日は、このお店で、お団子食べてる。

     こっちから話しかけるわけにはいかないから、わたしはそっと通り過ぎる。
     時々、見つかって、話しかけられちゃうけど。

    『お遣いですか』
    『はい、お世話になってるお家の人に、お菓子を頼まれて』
    『今日は宝積屋が、新しい干菓子を出してますよ。いっしょに行きましょう』

     たいてい、こんな会話になって、わたしの知ってる『美味しいお菓子』がまたひとつ増える。
     沖田さんは新撰組の人だから、会わないようにしなくちゃいけない……けど。
     わたしの大切な、『甘味友達』。

     でも、今日は、沖田さんの隣には誰かがいた。
     ……きれいな、女の人。





     そのまま通り過ぎようとしたけど、何故か気になって、わたしはお店の角に隠れた。

    「すみません。この間、お借りした傘を、まだお返しにも行けてなくて」
    「いややわ。傘なんか、何時でもよろしおます。ほんまに、ついでのある時でええですさかい」

     沖田さんに傘貸してあげる人、他にもいるんだ……。
     子犬のムウを拾ったときのことを思い出して、少し悲しくなった。
     
     そうだよね、沖田さんみたいな人が雨で困ってたら、誰だって傘貸してあげたくなるよね。

    「それよりも沖田はん、次の新撰組のお座敷には、来てくれはるんですやろか」
    「ああ、そういえば、土方さんがそんなことを云ってましたっけ……」
    「うち、沖田はんが来てくれはるんやったら、お座敷出るて、お母はんにいうてしもたんどすえ」
    「ははっ。玉勇さんがいなかったら、土方さんが残念がりますよ」
    「うちは、土方はんより、沖田はんにいてもらいたいんどす」

     なんだか、楽しそうに話が弾んでて、わたしはそれ以上聞いているのが辛かった。
     今日は、おつかいがすんだらすぐに帰ろう……

    「……ほな、うちはお稽古がありますさかい、これで。お座敷、お待ちしてますえ」

     隠れてるから声しか聞けないけど、にっこりと艶やかな笑みを浮かべてお辞儀をする《玉勇さん》の姿を、簡単に想像できた。
     芸妓さんかな。ほんとに、きれいな人……。
     あ、沖田さんも出てきちゃう。知らん顔しなくちゃ……。
     やだな、わたし。なにやってるんだろう。







    「あれ? 未夜さんじゃないですか」
     そのまま通り過ぎようとして、後ろから声をかけられる。
    「こ、こんにちは」
     立ち聞きしちゃったのが後ろめたくて、ちょっと声がうわずった。
    「今日も、お遣いですか?」
     いつもと同じように、沖田さんは話しかけてくる。よかった。ばれてないみたい。
    「はい。お家の人へお菓子を買いに」
     無理に笑って、頷く。
    「そうですか、じゃぁ、その前に団子ごちそうさせてください」
     にこにこと、わたしを茶店にひっぱっていく沖田さん。
    「え、そんな、悪いですから……」
    「僕、ここの団子大好きなんです」
     どこのお店の前で会っても、そう云ってる気がするけど……。
    「だって、沖田さん、さっきもこのお店で食べてたし」
     あ、つい口に出して云っちゃった。さっきの話聞いてたことばれちゃったかな。
    「あは。見られてましたか。そうなんです。店を出ようとしたら、未夜さんを見かけたんで、もう一度舞い戻る理由が出来ました」
    「舞い戻る?」
    「食べ終わってすぐに、同じ店に舞い戻って注文するのはさすがに、恥ずかしいですからね」
     ……うん、何度も戻ってきてお団子注文してたら、ちょっと変かも。

     想像したら、思わず笑っちゃった。
    「あ、笑いましたね。僕にとっては切実なんですよ」
     沖田さんは大げさに、困ったような顔を見せる。
    「実は、さっき食べてた分を、ごちそうされてしまって……あ、すみません、あと二本追加ください」
     話しながら、お団子のお代わりを追加する沖田さん。
    「ここにいた女の人ですか?」
    「そうなんです。ついでだからって、気持ちは嬉しかったんですけど……あ、勝手に団子追加しちゃいましたけど、他のものがよかったですか?」
     話が、混ざってるなぁ……
    「大丈夫です。続けてください」
    「そうですか、芋饅も美味しいですよ。あ、それで、嬉しかったんですけど、勘定すまされちゃったら店を出ないといけないじゃないですか」
    「もしかして、食べてる途中でお勘定されちゃったってことですか」
    「そのとおりです。未夜さんが通りかかってくれたおかげで、戻って来れました。だから、ここはごちそうさせてください」
     ほんとに、好きなんだ……ここのお団子。






    「さっきの人、きれいな人ですね」
     なんか、話の流れで、わざわざ、聞きたくない会話をふっちゃった……
    「玉勇さんですか。芸妓さんですからね。舞の名手で。土方さんのお気に入りなんですよ」
     何本目かのお団子に手をのばしながら、沖田さんが教えてくれる。

     でもね、沖田さん。《玉勇さん》は絶対、沖田さんのこと好きだよ……。

     傘を貸したら、次に会える約束ができるでしょう。
     お団子ごちそうしたら、沖田さんは次にお返し、するでしょう。
     《玉勇さん》は、沖田さんに会いたくて、しかたないんだよ……。
     あれ、わたし、どうしてそんなこと、わかっちゃうんだろう……。


    「どうしました? もう食べないんですか?」
     声をかけられて、はっとする。
     いけない、ぼーっとして、嫌なこと考えちゃった。
    「なんだか、浮かない顔してたから」
    「い、いえ、今日はどんなお菓子を買って帰ろうかと考えてしまって……」
     言い訳するのも、なんか哀しいな。
    「そうか、お遣いの途中でしたね。じゃぁ、そろそろ行きましょう」
    「行きましょうって、沖田さんも行ってくれるんですか」
    「今の時期じゃないと、買えないところがあるんですよ」
     本当に楽しそうに歩く沖田さんの背中を見ながら、わたしは後ろをついて行く。






     沖田さんが連れてきてくれたのは、満開の桜の咲き誇る川の土手だった。
     わたしのいた現代ほどのどんちゃん騒ぎではないけれど、お弁当をひろげて花見を楽しむ人たちもいる。
     屋台もいくつか出てて、ちょっとしたお祭りみたいな賑わいだった。

    「わぁ、きれい……」
    「未夜さん、こっちです」
     上を見上げて、桜に見とれているうちに、沖田さんが場所を確保してくれた。
     茶店の店頭にあるみたいな、赤い布をかけた台……こういうのなんていうんだっけ……に手招きされる。
    「ちょっと、待っててくださいね」
     沖田さんはすぐそばの、屋台の人に何か話しかけている。
    「はい。これ、どうぞ。お家の方に」
     戻ってきた沖田さんに、何か包みを渡された。
     きっと、おまんじゅうか何かだと思うけれど、包みはほかほかと温かい。
    「桜餅です。あの屋台、この近くの茶店がこの時期だけ出してるんです。はい、これ」
     そういって差し出されたもう片方の手には、懐紙にのせた桜餅がふたつ。
     桜の葉のいい香りが、湯気と一緒にのぼってくる。
    「わぁ、限定販売なんですね。いただきます」
     さっき、お団子食べたばかりだけど、この出来立ての桜餅はホントに美味しくて、いくらでも入りそうだった。
     これだったら、龍馬さんたちもみんな喜んでくれそう。


     わたしはただの『甘味友達』だけど、こんな時間が過ごせるんだったら、それでいいな……。
     わたしは、《玉勇》さんみたいに、次の約束をするわけにいかないけど、
     沖田さんとはこれからも、何度だって『偶然』出会える。
     何でかわからないけど、そんな気がする。
     ぼんやりとそんなことを考えながら、隣で桜餅を食べる沖田さんの幸せそうな顔を眺めてた。

     なんか、花を見てるのか、沖田さんを見てるのか、分からなくなっちゃった。






    「お待ちどうさんどした」
     突然、お店の人に声をかけられる。
    「葛きりふたつ。毎度おおきに」
     沖田さん、葛きりまで注文してたのか……
    「今年は、えらい可愛らしいお連れさんと、ご一緒どすなぁ」
     お店の人は、品の良さそうな笑顔を見せて、沖田さんに話しかける。
    「僕も、いつも、いかつい人とばかりいるわけじゃありませんからね」
     あ、それ、土方さんのことだな。
    「沖田はんにも、やっと、春が来たっちゅうことどすなぁ」
     え? あれ? それってわたしのこと?
    「「いや、あのちょっと、そういうわけじゃ……」」

     ふたりで、同時に、言い訳をしてしまった。
     慌てて、立ち上がって、顔を見合わせて……
     
    「ほんま、気ぃの合うことで。ほな、お嬢さんもこれからご贔屓に」
     ほほほっ、と笑って、お店の人は誤解したまま行ってしまう。

    「えっと、なんか、すみません……」
     なんとなく、謝ってしまった。
     わたしなんかと、誤解されるの、迷惑だろうな……

    「く、葛きり。食べましょう」
     照れ隠しみたいに、沖田さんにいわれて、わたしたちは座りなおした。
     お互い、なんとなく無言になって、葛きりをたべる。
     つるんとした喉越しが、この季節に心地いい。

     時々落ちる桜の花びらが、風に乗って舞うのを眺めていると、時間がたつのを忘れそうになる。
    「きれいですねぇ……」
     思わず、つぶやいてしまう。
    「でしょう。ここの葛きり、ぜひ食べてもらいたかったんです」
     え?
    「白蜜の葛きりに、半透明の小さな桜寒が彩りにのっていて、いかにもお花見のお菓子という感じですよね」
     わたし、桜のこといったんだけど……
    「求肥を緑に色づけてるのも、桜の葉っぽくて。手が込んでるなぁ」
     満面の笑みを浮かべて、葛きりを褒めちぎる沖田さん。とてもかわいく感じて、笑ってしまう。
     こういうの「花より団子」っていうのかな。
    「あれ? 僕、なにか変なこと云いました?」
    「ううん、ほんとに、好きなんだなって……」

    ――― わたし、沖田さんが、好きなんだなって……

    「ええ、だからね。好きな人にだけ、教えたかったんです」

     それは桜みたいに、散ってしまう言葉のような気がして、聞き返せなかったけど。
     甘いような、切ないような。
     わたしの秘密の、お花見の記憶……。
     
     

      ――――――END――――――
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