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    「Coyote-幕恋 沖田 風√ 捏造-」
    Coyote

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    10.-未夜-

     薩摩藩邸を出ようとしたわたしを、大久保さんが呼び止める。

    「ああ、小娘、行くならその刀を預かろう」
    「え、でも、これは……」
    「『加賀清光』。小僧の愛刀だろう。『乞食清光』ともいうな。フン、小僧にしては粋な趣味だ」
     そうか、この刀で総司くんの事がわかったんだ。
     でもなんで、大久保さんが総司くんの刀を預からないといけないの?
    「愛刀を人質に取られては、ここを訪ねるよりあるまい。必ずふたりで戻ってくるように」
     なんだか、よくわからない約束をさせられたけど、それは、ふたりとも無事でって云ってくれてるんだよね。
     わたしだけじゃなくて、総司くんも。ってことだよね。
    「ありがとうございます。きっと戻ってきます」
     分かりにくい大久保さんの優しさに、こころからお辞儀をして、わたしは出発した。


     約束した神社まで走る。
     東の空が明るくなり始めていた。
     刀を預けちゃったら、なんだか急に不安になった。
     総司くんの笛は、もう聞こえない。


     神社の社が見えてきたけど、総司くんはまだついてない。
    「……大丈夫だよね。総司くん、強いもの」
     ぽつん、と呟いた。

    「総司が、どうしたって?」
     後ろからいきなり声がして、びくりとする。
    「土方さん……」
     そうか、寺田屋の襲撃に土方さんが出てきてないわけがなかった。
    「見慣れない隊士が、神社の方に走って行ったって聞いたもんで、来てみれば……。今日の珍妙は、また面白い格好してるじゃねえか。え?」
     どうしよう……。この笑顔、怒ってる顔だよね……。

    「さて、じっくり聞かせてもらおうか」
     顔をぐんと近づけて覗きこまれる。こ、こわいよ……。
     だけど、へんなことしゃべったら、総司くんが……。
    「珍妙、お前、寺田屋にいたそうだな」
     う。そこまでばれてるんだ……。しかたない……。

    「て、寺田屋が襲われて……」
    「うん、それで?」
    「薩摩藩邸に、助けを呼びに行ってました……」
    「ほぉ。相変わらず、はねっ返りなことだ。で、その隊服はどうした」
    「えっと……」
     どうしよう。総司くんのだなんて、絶対云えない。
    「た、倒れてた人の、を……」
     苦し紛れの、ばればれの嘘しか浮かんでこない……
    「ふ…はははっ! たいした度胸だ」
     わ、笑った……?
    「その度胸に免じて、もう一回聞いてやる。その隊服はどうした」
     ううっ……
    「だからっ! 倒れてた人から借りましたっ!!」
    「相変わらず、強情な珍妙だ」
     土方さんが楽しそうに笑うほど、どんどん怖くなる。
    「これ以上は、屯所できいた方が良さそうだな」
     土方さんが私の手首を掴んだその時、

    「未夜ーーーーっ!」
     わたしと土方さんの間に割って入ったのは総司くんだった。
    「ごめん、遅くなった」
     肩で息をしながら、土方さんからわたしを引き離し、寄りかかるように、抱きしめてくれる。
    「総司くん、総司くんっ……」
     子供をあやすみたいに、頭を撫でられて安心しながら、わたしは総司くんにしがみついた。
    「ごめんよ。こわい思いさせたね。ほんとに土方さんは、無駄に人を怖がらせるんだから」
    「誰が、無駄だ! 取調べに甘ったるい顔が出来るか!」
     こんな時まで、総司くんの口調は土方さんを自分のペースに巻き込んでしまう。

    「すみません、土方さん。この隊服、僕のです」
     そう云いながら、総司くんはわたしを背中にまわして、土方さんから隠してくれる。
    「なるほど。それで、総司、お前が着てる羽織はなんだ。立派な紋付だな、え?」
    「坂本さんのです」
     なんでもないことのように、総司くんはあかるく返答する。
    「一番隊の連中が、悉く坂本にやられたって報告があるんだが、それもお前か」
    「ええ、ちょっと稽古をつけました」
    「よし、じゃぁ、お前の稽古は俺がつけてやる。抜けっ」

    「手合わせ願いたいところなんですが、実は刀が……。脇差で構わなければ」
     ちらりと、総司くんがわたしの方を見る。
     やっぱり大久保さんに、預けるんじゃなかったかな……。

    「ごめん、総司くんの刀、大久保さんに取り上げられて……後で取りにこいって」
    「そうか、無事にたどり着けたんだね。よかった」
     怒られるかと思ったのに、総司くんはただ笑っただけだった。
    「総司。お前、武士の命を珍妙に預けたのか」
     土方さんが呆れたように、総司くんとわたしを交互に見た。

    「命、だから。未夜に預けたんです」
    「ふ……」
     土方さんが、さっきとは全然違う柔らかな笑顔を見せた。
    「素っ頓狂なことをしでかしたと思ったら、ふっきれた顔しやがって」

    「だが、隊規はわかってるな。総司」
    「覚悟してます」

     タイキ……?

    「僕の首で済むなら、未夜は見逃してやってくれませんか」

     え? 総司くん……何を云ってるの?



    11.-未夜- 

    「じゃあ、その覚悟、見せてもらおう」
     土方さんは、スルリと刀を抜いた。
     総司くんはぴくりともせず、土方さんを見つめている。

     うそ……ほんとに斬ったりしないよね……
     いやだ。いやだよ、総司くん。せっかく逢えたのに。
     そんなこと……

    「そんなこと、させないっ!」
     身体が勝手に動いて、わたしは総司くんの背中から飛び出した。
     土方さんとの間に入って、総司くんにしがみつく。
    「珍妙、そこをどけ」
    「どきません!」
    「未夜、やめろ!」
     総司くんまでが、慌てた声を出す。
    「いや、絶対動かない!」
    「なら、珍妙。お前も一緒に斬られるか?」

     それは、決して脅しじゃなくて、土方さんは斬ると云ったら斬るだろう。

    「……斬るなら、斬ってください」
    「未夜! 君がそんな目に合うことはない!」
    「わたしは龍馬さんたちにお世話になってて、龍馬さんたちを助けるために薩摩藩邸まで行きました。総司くんに隊を裏切らせて、その居場所も奪ってしまいました」
    「違う! 僕が、そうしたかったんだ!」
    「龍馬さんは、新撰組の人たちは敵じゃないって云ってました。守りたいものが違うだけだって……。わたしも、そう思うけど。みんなこの国を思う気持ちは一緒だって思うけど……」

     違う……そんなの、きれいごとだ。
     わたしはただ、自分のわがままで、帰れる場所を捨ててしまって、大好きな人にまで居場所を捨てさせた。
     わたしは、志とか、思想とか、難しいことは何もわからない。
     どんな未来がやってこようが、歴史が変わろうが、総司くんがいないなら、意味がない。
     身勝手なわたしに、龍馬さんや土方さんの志を語る資格なんか、ない。
     総司くんがいないなら、そんな世界は……滅びてしまえばいい。
    「だから、だから……誰かが罰を受けなきゃいけないなら、それはわたしなんです」

    「未夜……だめだよ。僕から居場所を奪ったりしちゃ」
     わたしを抱きしめる総司くんの腕に、力がこもる。
    「僕の居場所は、未夜、君だけなんだから。その居場所を守らせてくれなくちゃ」
     総司くん……嬉しい、嬉しいよ。
     そんな風に云ってもらえるなんて、思いもしなかった。
     だけど、総司くんが死んじゃったら、わたしはこの世界にさえ、居る意味がないよ。
    「わたしだって、総司くんだけが、わたしの……」

    「まったく! お前ら、似たモン同士で心中ごっこでもしてるのか」
     突然、土方さんが大きな声を出して、刀を収めた。
    「小娘とガキを斬っても、坂本ひとりの代わりにもなりやしねぇ」


    「……珍妙、ひとつ、わかりやすい例え話をしてやろう」
     土方さんが、いきなりわたしに向かって話しかけた。
    「俺たち新撰組の志と、倒幕派の思想ってのは、川の対岸線にいるようなもんで、交わることがない」
     この例え…龍馬さんと総司くんも以前してた……。
    「お前さんは、たまたま坂本龍馬という、倒幕派の思想を持つ連中に世話になっただけで、どっちの岸にいるわけでもない」
     土方さんと龍馬さん、こんなに考え方は似てるのに。それでも、その岸は渡り合えないんだろうか……。
    「それはな、総司にもいえることだ」
     総司くんを見る土方さんの目はとても優しくて、とてもさっきまで彼を斬ろうとしてたようには見えない。

    「土方さん、僕は! 土方さんと近藤さんの夢を叶えたくて……」
    「そう、俺たちの夢だ。総司、お前の夢じゃねぇ」
     もしかしたら、土方さんは、最初から、この話をするつもりだったのかもしれない。
    「お前はもっと自分のために生きてもいいんじゃねえのか。この珍妙は、ここの神社の神さんかなんかが、お前に遣わしてくれたんだろうよ」
     土方さんが話してる間、総司くんは今にも涙がこぼれそうな瞳で、土方さんを見ていた。

    「さて、日が昇っちまったな。日付が変わったら、俺は非番だ。今日のところは帰って寝るだけだ」
     すっきりした顔で、土方さんが笑う。
    「まぁ、他の隊士へのけじめもあるからな。お尋ね者扱いになるのは覚悟しとけ。未夜さん、こいつの世話頼んだぜ。大事な弟だ」
     土方さんが、珍妙じゃなくて、名前を呼んでくれた。
     帰っていく土方さんの後姿が見えなくなるまで、総司くんとわたしは、深く深くお辞儀をして見送った。

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