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    「Coyote-幕恋 沖田 風√ 捏造-」
    Coyote

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    8.-未夜-

     時々、総司くんの笛の音が聞こえる。
     あの音が聞こえてるあいだは、総司くんは無事なんだとわかる。
     だけど、あの笛が聞こえるたびに、浅葱色の人たちが笛の音に向かって走る。
    「総司くん……」
     薩摩藩邸まで、あと少し。
     笛の音に向かって祈る。
     どうかどうか、無理しないで。あの神社で逢おうって、約束だよ―――。
     
     あの笛のおかげで、私は刀を抜かずにすんだ。
     薩摩藩邸の門が見えた時、一気に力が抜けた。
     門番の人が取り次いでくれている間、わたしは総司くんの刀を硬く抱きしめて、その場に座り込んだ。

    「この夜中に寺田屋の小娘が、珍妙な格好で訪ねてきたというから、何かと思えば、セーラー服の次は壬生狼の真似事か」
     死に物狂いでたどり着いた薩摩藩邸で、この人は、やっぱりすぎる反応を見せてくれた。
    「今、大久保さんの、イヤミ、聞いてる場合じゃ、な、ないんです……ゼェゼェ」
     息も絶え絶えに説明しようとするわたしを見て、内容に触れないうちから大久保さんの表情が変わる。
    「小娘、坂本君たちはどこだ」
     わたしは、龍馬さんが隠れている場所と、慎ちゃんが薩摩藩邸を目指して、追手に見つかったこと、武市さんと以蔵の安否は寺田屋を出たきりわからないことを告げた。

    「よし、小娘にしてはよくやった。今日はここで休んでいくがよい。土佐の連中は全力で保護する」
     大久保さんに褒めてもらえるなんて、明日は嵐なんじゃないだろうか。
    「あ、ありがとうございます。でもわたし、もう行かないと」
    「馬鹿者! 相変わらず、周囲の状況を読めん小娘だ。こんな真夜中に、みすみす小娘ひとりを出歩かせられるか。薩摩藩の沽券にも関わる」
     眉を吊り上げて怒る大久保さんを見るほうが、安心するなんてへんな感じ。
     でも、今はそんな場合じゃなくて。
     一刻も早く、わたしは総司くんのところに行きたかった。

    「先日の私の訓示を、無視していたようだな、まったく」
     クンジ? 何か大久保さんに云われてたことあったっけ。
    「沖田という小僧に関わるなと、私が云った事も忘れたか」
     ……また、考えてること顔に出ちゃったみたい。
     そういえば、そんな事をだいぶ前に云われたような……。

    「大方、小僧と落ち合う約束でもしているのだろう。その貧乏臭い色の羽織も小僧に借りたか」
     ちょっと、貧乏臭いって! 色にまでいちゃもんつけなくっても!
     ……あれ? そういえば、わたし、総司くんの名前出してないよね。
     今までだって、大久保さんに総司くんの話なんてしてないし、なんでそんな事までわかっちゃったんだろう。

    「まぁいい。泊まっていけとは云わん。もう一度走れるくらいまでは休んでいけ。茶と菓子くらいは出してやる」
     不思議そうにしているわたしの顔を見て、大久保さんは、ふふん、と鼻を鳴らした。
     全部、お見通しみたいで、なんか悔しい。
     だけど、出されたお茶と干菓子は、身体に沁みるほど美味しくて、じんわりと疲れが癒される気がした。

    「そうか、泣くほど美味いか」
    「え?……あ……」
     云われてはじめて、私は涙をこぼしていることに気付いた。
    「菓子を食って、やっと緊張がほぐれたか。小娘らしい……」
     イヤミを云われてる気はするけど、大久保さんの目はとても優しいような気がした。

    「気に入ったのなら、小僧にも持って行ってやるがいい」
     大久保さんは、干菓子の入った未開封の包みを渡してくれた。
    「こんなにたくさん……?」
    「先日、それと同じものを買い求めに出向いたところ、生憎と品切れでな。直前に「買 い 占 め た」あの小僧が『よければ、一袋おすそ分けします』などと押しつけて行きおったのだ」
     その場面が簡単に想像できすぎて、笑いをがまんするのに苦労する。
    「と、とにかく! この大久保、そんなつまらんところで借りは作らんということだ」
     素直じゃないなぁ……。
    「まぁ、朝餉代わりにはなるだろう」
    「あ、ありがとうございます」
     優しすぎる大久保さんの態度に不気味になりながら、わたしは出発しようと立ちあがった。



    9.-沖田Side-

     平助君との斬り合いは、どれくらい続いたろう。
    「随分と、腕をあげたね」
    「そっちこそ、脇差だけでそこまで動けるって、ほんとにあんた……」
    「また、そうやって、人を化け物扱いする。得物が何かなんて関係ないんだ」
    「『刀で斬るな。体で斬れ』か」
     笑い事のように、まるでじゃれてるみたいに、僕たちは命がけで剣を交し合った。

     ―――新撰組八番隊組長、藤堂平助。
     歳が近くて、隊のなかでは気が合った。
     最近、彼には何か思うところがあるらしくて、よく考え事をしてるようだった。
     話をきいてやらなきゃって思ってたけど、こんなことになって、それも叶いそうにない。
     
     東の空が白んでくる。
     薩摩の藩士がそろそろ動くころだ。

    「そろそろ行かないと……」
    「行かせてやりたいんだけどさ、こっちも仕事だしね……あの娘のとこだろ?」
     刀を振りながら、彼は意外なことを云う。
    「俺は、どっちかっていうと、ちょっと安心したんだ。寺田屋に突入した時のあんたは、本気であの娘のこと殺すつもりかと思ってた」
    「そのつもりだったよ。誰かの手にかかるくらいなら、僕が……」
    「でも、やらなかったろ。その後、何があったかは知らないけど、あの娘はあんたの格好をして、薩摩藩邸まで必死で走ってた」
     そうか、平助君も、彼女を見守ってくれてたんだ。
    「ありがとう……勝負ついてないところ悪いけど、行かせてもらうよ。追うなら、追ってくれ」
     最後に、挨拶代わりの小手を入れようとしたとき。
    「あいつ」が、顔を出した。

    「コホッ……コホッ………かはっ!」
     ……こんな時に、血なんか吐いてる場合じゃないのに。
     ほんとに、思い通りにならないな。
     しばらく咳き込んだ後、いつもより多めに紅いものを吐く。

    「ちょっ! 大丈夫かよ!」
     戦っていたことも忘れて、平助君が僕に駆け寄ってきた。
     彼のこんな優しさが、いつか命取りにならないかと、咳き込みながら、不安になる。
     平助君じゃなきゃ、刺してるとこだよ。
     ちょうどいい位置にある、ガラ空きの脇腹を見なかったことにして、息を整える。

     さっきまで、真剣勝負してた相手に、背中をさすられるっていうのも、なんだか情けないな。
    「平気だ。今に、始まったことじゃない……ゴホッ……」
    「……肩、貸すよ。何処行きゃいいんだ」
     ため息ひとつついて、彼は僕の片手を肩に負おうとする。
    「君まで、巻き添えにしたくないんだけどな」
    「気にすんなって、遅かれ早かれ……いや、俺は適当に誤魔化すさ」
     気になることを云いかけたように思うけど、それは、今は聞いてはいけない気がした。
    「途中まででいいよ。出来れば、ひとりで行きたい」
    「心配すんなって。逢引きの邪魔するような、野暮はしねーよ」

    「八番隊(そっち)の後始末は?」
    「とっくに解散させた。薩摩藩が動くなら、半次郎が来るだろ。あれはやっかいだ」
    「賢明だね」
     隊の組長同士としての、最後の会話。
    「生きてたら、また話そうよ……お互いに」
    「おう……」

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