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    「Coyote-幕恋 沖田 風√ 捏造-」
    Coyote

    Coyote-2-

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    2.-沖田Side-

     ふと目についた土蔵に、足を踏み入れる。
     深手を負った者が隠れるには、絶好の場所……。
     開けてみると、確かに人の気配がする。

     ひっそりと、息を潜めているけど、気配さえ隠せないようじゃ、坂本さんたちじゃないかもしれない。
     それでも、こちらに刀を向けて警戒していることは明らかだ。
     相手を油断させようと、僕は隊のみんなをわざと遠ざけた。
     切ないほどに、必死の剣気を感じる。
     この感じは……まさか、まさか……。

    「そこに、誰かいますか」
     返事はない。また一歩踏み進める。
    「こないなら、こちらからいきますよ」
     灯りを奥に向けて、人影を確認する。
     今にも泣きそうな顔で、僕に刃を向け、彼女が構えていた。
    「未夜……やっぱり、君か、」

    「総司くん、お願い、来ないで。これ以上来ないで。ここには、わたししか、いないの」
     震える声で、彼女は訴える。
    「莫迦! 何やってるのか、わかってるのか!」
     思わず荒げた声に、びくん、と彼女は震えた。それでも、その刀は離さない。
     武器なんて、刀なんて、きっと触ったこともない彼女には、実際の重さ以上にその得物は重い筈だ。
     人を傷つけることなんて、ましてや殺すことなんて、簡単に出来る筈もない。
     そこにいるのは、君がそんな思いまでして守ろうとしているのは、多分……。

     彼女の目から、ついに涙があふれ出す。
    「総司くん、まだひとつ、約束が残ってたよね。ここで、その約束。叶えてくれないかな」

     約束……。ああ、そうだったね。
     名前を呼び合おうっていうより前に。もうひとつ。
     憶えていてくれたの、嬉しいな……。

     『ふたりで、剣の稽古をしよう』

     だけど。
    「これは、稽古なんかじゃない。竹刀じゃないんだ。このままじゃ……僕は、君を殺してしまう」
    「いいよ、総司くんにだったら、」
    「な、何を云って……」
     未夜は、涙を流し続けながら、一呼吸おいて、はっきりと云った。
    「総司くんにだったら、殺されてもいい。だから、わたし、ここにいるの」
     君は、僕のこと、何も知らなさ過ぎるよ……。
    「総司くんがいない未来に、わたしの居場所なんか、もうないの」
     君に、そんなことを云わせるだけの価値なんて、僕にはない。

     僕の、いない未来。
     僕に、来ない未来。
     君の、いない……いま。

     僕の守りたいもの。
     大好きな人たちの、夢。
     叶うことはないと、知らされてしまった、誠の夢。
     大好きな、君の……未来。

     手に入ることのない君を、この手にかけようと、確かに思った。
     この腕のなかで、血に染まる君を、確かに何度も夢に見た。
     その君が、殺してくれと僕に云う。
     
     ……情けないじゃないか、君ひとり守れないなんて。


     その時、土蔵の外で人の気配がした。
     隊の者が戻ってきたか。
     もう、迷ってる時間はないな……。

     未夜。君が知らない僕の姿を見せても、それでも君は、同じ事を云ってくれるかい?
     ただの、人斬りの僕を見ても―――。

     だったら、僕は、もう二度と戻れない一歩を踏み出そう―――。



    3.-未夜-

    「わかった。君の望みどおり、手合わせしよう……おいで、未夜!」
     総司くんは、あの切っ先を少し下げた平晴眼の構えで、わたしを見据えた。
     にっこりと、いつもの優しい笑顔。
     もう一度、深呼吸して、わたしも構える。

    「いきます……やぁぁぁぁっ!」
     迷いなんか、なかった。そもそも勝てるつもりもないけれど。
     ただ、まっすぐに、総司くん目掛けて、本気の突きを繰り出した。
     総司くんが突いてきたら、きっと避けられない。
     お父さん、お母さん、カナちゃん……寺田屋のみんな……さよなら……。

    『キンッ!』
     
     あっさりと、わたしの突きは払われて、刀が落とされる。
    「うん、踏み込みは、素晴らしいね」
     いつもの笑顔のまま、総司くんは刀の切っ先をわたしに向けている。
     覚悟はしていたけど、やっぱりこわい。
     目を閉じたその瞬間。


    「莫迦だなぁ、未夜は。僕のこと、まだこれっぽっちも知らないくせに。僕なんかに命かけてどうするのさ」

     わたしの身体は、しっかりと、総司くんに抱きしめられていた。
     これ以上ないくらい、きつく、きつく。……痛いほど。

    「そう…じ……くん…?」
    「しっ! 黙ってきいて。外に、隊の者がいる」
     嬉しくて、何を云えばいいのかもわからないまま、名前を呼んだわたしの口に、総司くんは人差し指をあてた。

    「いいかい、このまま動かないで。今から、何があっても、僕を信じてくれるかい?」
     声を一段低くして、総司くんが囁いた。
     黙って頷くと、総司くんはさらに腕に力を込めて、わたしを抱きしめる。
    「動かないで。しばらく我慢してて」
     
     総司くんの云ったとおり、誰かが入ってきた。
     足音が近づいてくる。
     総司くんの腕に、いっそう力が入る。

    「沖田さん、ここの調べは終わりましたか?……っと、失礼しましたっ……」
     わたしを抱きしめている総司くんの姿に、その人が慌てた声を出した。
     ちょっと、恥ずかしいな。
    「……ああ、ここには、僕と、この娘だけだよ。取り込み中だから、無粋な真似しないで、出て行ってくれるかな」
     振り向きもせずに、そんなことを云う総司くんの声は、いつもよりずっと低くて、わたしまで震えそうになる。
     一番隊の組長だっていうから、総司くんは、ほんとはすごく偉い人なんだな。
     今更みたいに、そんなことに気付く。
    「その娘は、確か坂本たちといた……」

    『ザシュッ!』

     云い終わらないうちに、その人は、その場に倒れた。
     総司くんは、いつ刀を振ったのかも分からないほどの速さで、その人を……一突きしていた。
    「それに気付いたんじゃ、仕方ないね」
     感情のこもらない総司くんの声は、何処までも冷静で、別人のよう……。

    「っ―――!!!」
     見たこともないほどの大量の血が、足元に流れる。
     思わず叫びそうになった口を、総司くんに押さえられる。
    「おっと、君の足まで汚してしまう」
     総司くんは、わたしの口を塞いだまま、土蔵の奥へとわたしを引っ張っていった。
     そこには、藁で隠した龍馬さんが、まだ気を失っているはず……
     きっと、見つかっちゃう。大丈夫なんだろうか。
     まだ、総司くんが何を考えているのかわからない。
     だけど、何があっても信じてくれって、総司くんは云った。
     
    「さて、これで、僕にも帰るところがなくなったわけだ」
     なんだか、肩の荷をおろしたみたいな表情で、総司くんが笑った。
     そうだ。仲間を斬っちゃったんだから、総司くんは新撰組を裏切ったことになるわけで……。

    「……僕が、怖い?」
     総司くんが尋ねる。
    「君に見せることはないと思っていた、これが本当の僕だよ」
     総司くんは、わたしを真っ直ぐに見つめる。
     その、しろい貌に、ひとすじの返り血が流れてる。
     なんて、鮮やかな……紅。
     
    「僕は『生まれつきの人斬り』だって、さっきあの岡田以蔵に戦いながら云われた。否定はしない」
     わたしは、恐る恐る手を伸ばして、その血を手で拭き取った。
     怖くないと云ったら嘘になる。だけど。
     この時代を生き抜いてきた総司くんの、これは生き方だ。
     人斬りと恐れられて、それでも剣に命を懸けてきた、総司くんの生き方だ。

    「わたしが怖いのは、総司くんが、わたしの前からいなくなってしまうことだけだよ」
     すると、すがりつくように、総司くんの腕がのびてきて、わたしを胸に引き寄せた。
    「未夜、ごめん。僕には君を幸せにしてあげられる術が何もない。それでも、僕は、君がいないとだめみたいなんだ」
     おずおずと、手をのばして、総司くんの背中にまわしてみる。彼はいっそう強く抱きしめてくれた。
    「もう、後戻りできないよ、いいんだね」
    「うん……もう戻らないって、決めたもの」
     しばらくの間、総司くんの腕のなかで、わたしは彼の鼓動を聞いていた。
     自分が、総司くんの身体の一部になった気がするくらい、彼がそばにいてくれることを実感しながら。


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